上塗り塗料のグレード
塗料の種類によって耐久性も変わってきますのでできれば3種類くらいのプランを作ってもらい、予算や目的・諸事情を考慮し検討しましょう。そして一番重要な点は、下地に適した塗材を選ぶことです。例えば、モルタルの外壁・サンディングの外壁では使用する塗材は変わってきますので、疑問点があれば念のため塗料メーカーに問い合わせるかホームページ等で調べる方がいいでしょう。

仕上げ塗料の特徴を知る
最近は各メーカーからさまざまな材質の塗料が販売されています。塗料の選択に際して最も大事な点は、耐久性と意匠性(デザイン性)です。特に耐久性能を左右するのが塗料に含まれている合成樹脂です。

一般的なアクリル樹脂塗料をはじめ、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂を使用した塗料があり化学的構造が違うためそれぞれに特徴があります。さらに、カビの発生を防ぐ「防カビ塗料」、汚れをつきにくくする「低汚染型塗料」、水は通さず湿気と空気を通す「透湿型塗料」、日射による温度上昇を抑える「遮熱塗料」など付加価値を持った新しい塗料が出てきています。

弾性塗装写真

塗料には大きく分けて有機溶剤型塗料(シンナーで希釈する)と水性塗料(水道水で希釈する)の二つがあります。有機溶剤系の塗料には揮発性の有害物質を発生するものがあり、現在では水性塗料が使われることが多くなってきています。臭いは少ないが耐久性が劣ると言われていた水性塗料ですが、現在では有機溶剤系塗料に劣らない耐久性を持つ水性塗料が開発され製品化されています。人体への影響や環境への負荷を低減するために、塗料業界では今後も水性化の流れがさらに加速するでしょう。

耐久性による分類

塗料の種類耐年数内容
油性(OP)3~4年主に木部や鉄部に使用。いわゆるペンキと呼ばれるもの。
アクリル6~7年外壁を塗装する際に用いられる最も一般的な塗料。安価な為、一般住宅のほとんどで使用されている。
ウレタン8~10年アクリル塗料に比べ、耐久性に優れる。大手マンションの塗り替え工事では標準的に使用されている。
シリコン13~14年ウレタン塗料に比べ、耐久性に優れる。
フッ素15~20年シリコン塗料に比べ、耐久性に優れる。高層ビルの外壁パネルの塗装などに使用されている。
機能・意匠による分類
塗料の種類耐年数内容
単層弾性7~9年複層弾性という高級仕様の廉価版として、塗り替えた後に生じるひび割れに対処するために登場した塗料。特別なローラーを使用して厚く塗っておくのが前提。塗り替え工事で使用されることが多く、アクリル塗料の一種。
石材調仕上げ8~15年細かく砕いた天然石や陶磁器(セラミック)などが主原料。石を張る代わりに採用されることが多く、豪華な仕上がりは意匠性抜群だが、非常に高価。耐久性は最終工程の透明塗料(クリヤー)の性能によって異なる。
装飾仕上げ6~10年模様を付加するためのアクリル系塗料。コテ・ローラー・吹付施工など、バラエティに富んだ仕上げが可能で、近年新築住宅で使用されている。
セラミックさまざま石材仕上材とは別に、超微小な粉末状のセラミックを配合した塗料が「セラミック塗料」と称して商品化されている。アクリル・ウレタン・シリコン・フッ素の各塗料ごとにセラミック配合の塗料が存在し、耐久性も価格も異なる。セラミックの配合による利点は、低汚染型=汚れ難さにあると言われている。(セラミックを配合していない塗料でも低汚染機能を備えたものがある。)
光触媒15年程度排気ガスなど表面に付着した汚れを科学的に分解する性質を持った特許製品。耐久性はメーカー公表の試験値によるもの。
カビ・汚れを
防ぐ
さまざまカビや藻の発生を抑える薬剤を添加した塗料が発売されているほか、塗装する際に塗料に混ぜて使用するタイプの薬剤もあります。カビの菌は数百種にも及び、現在の技術では全ての菌に有効な防カビ剤は作られていませんから、絶対ではありませんが効果はありません。もう一つの汚れの原因は大気汚染の影響や粉塵の付着によるものです。これらの汚れに対しては、塗膜表面の科学的構造に工夫を加え、雨水によって汚れを洗い流してしまう効果を与えたり、セラミックの微粉末を配合して静電気の発生を低下させようという技術が使われています。また、近年では、付着した汚れを分解する「光触媒」という技術を応用した塗料も登場してきました。

弾性(ゴム)塗装
弾性塗装は、表面がゴム質でできています。一般的にはサイディングボードの壁には使用しません。なぜなら、ボードの目地部は別としてひび割れが起きないからです。弾性塗料はモルタル下地のようにひび割れ・亀裂が目立ち、コーキング補修をしても再びひび割れてしまう恐れがある場合に用います。ゴムのように弾力があるため、表面にはひび割れが起きにくいのです。